東京都と神奈川県で地域社会の発展に尽力する城南信用金庫さまは、健全な経営を基盤に、環境対策に積極的に取り組んでいます。徹底した省エネ化とクリーンエネルギー化を進めるためにエネットのサービスを導入。国内初の100%再生可能エネルギー(以後、再エネ)化を達成しました。
この活動を推進された管財部部長 弘田元司様を中心に、管財部次席調査役 大海吉晴様、企画部企画課調査役 佐々木嘉哉様にお話を伺いました。
東日本大震災後、できる限りの節電に取り組み消費電力3割削減を達成。さらにクリーンエネルギーを求めてエネットの新電力に切り替えるなど、「原発に頼らない安心できる社会」の実現に向けた活動を積極的に推進。
「世の中にもっと再エネの活用を推進したい」との強い決意のもと、2018年に国内の金融機関では初となるRE100に加盟。通常、長期計画で進められる使用電力の100%再エネ化を、できるだけ早期に達成するという大きな目標に挑戦。
2019年1月に、使用電力の全量をエネットが提案する『EnneGreen』に切り替えたことで、100%再エネ化の目標を達成する見通し。RE100加盟の国内企業として初の達成のため、多方面から反響が届いている。
2011年に発生した東日本大震災後の福島原発事故。この事故をきっかけに、地域や社会への貢献を重要な柱に掲げている当金庫は、“原発に頼らない安心できる社会”の実現に向けて、電気と真剣に向き合うことを宣言しました。そこで、震災後すぐに使用電力前年比3割減を目標に、全社一丸となって節電や省電力化に挑んだのです。そして、考え得る限りの節電に取り組んだ結果、2011年度上半期において目標の前年比3割減を達成しました。
さらに、電力会社の契約切り替えについて、エネットさんから提案を受けたことが、さらなる転機となりました。節電に邁進していた当時は、そこまで意識する余裕が無かったのですが、契約を切り替えることで電気料金が安くなると知り、意識が変わりました。そこで、エネットさんならバックボーンがしっかりとしていて安心ができると判断し、77店舗の電力契約を一斉に切り替える決定をしました。
その後もエネットさんとの電力契約を継続していましたが、2018年にまた新たな局面が訪れたのです。それは、RE100加盟への挑戦です。RE100(Renewable Energy 100%の略称)というのは、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す企業連合で、世界的に大きな影響力をもつ大企業が参加し、活動しています。当金庫は、様々な省エネの取り組みや、ファイナンスを通じた再エネ事業者への支援などを積極的に実施してきました。しかし、当金庫自身は再エネを使用していない。そこで、再エネを活用して事業を行っていくことが必要ではないか、との考えが生まれてきたのです。RE100は、当金庫のこれまでの活動との一貫性もあり、対外的にも説得力を増す取り組みだと考え、加盟を目指そうと決意しました。また、RE100に加盟している国内の金融機関はまだ無く、世界の金融機関に比べて、環境に対する意識が遅れているのが現状です。RE100加盟は、そうした国内金融界の再エネに対する意識を高める活動として、社会的意義が大きいことも動機の一つでした。
加盟に向けて社内調整を始めた当初は、RE100の認知度が低かったこともあり、社内啓発から取り組むという苦労もありました。しかし、RE100ほど明確に環境に向き合う機構は他にありません。そのことを丁寧に説いた結果、大きな反対も無く進めることができました。そして、これらの努力が実を結び、2018年2月にRE100の加盟が社内で決定され、3ヶ月後に正式に加盟が認められたのです。
RE100に加盟した企業は、事業活動で消費する電力を100%再エネで賄うことを2050年までに達成する必要がありますが、当金庫には2050年と言わずにできるだけ早期の達成を目指そうではないか、という強い意気込みがありました。しかし再エネはコストアップになるという大きな問題があり、実施は容易ではありません。まず半量を切り替え、その後比率を上げていく方法など、様々なシミュレーションで検討を重ねました。その結果、社会貢献を重要な使命とし、再エネの推進、普及に取り組んできた当金庫が早期に100%再エネを達成するためには、全施設の全量を切り替えることが最善策だと判断し、決断したのです。さらに再エネの供給方法についても、非化石証書やJ-クレジットの購入をメインにするのではなく、誰でも理解しやすい、直接再エネを購入することにこだわりました。それを可能にしたのがエネットさんの『EnneGreen』でした。エネットさん以外の電力会社は証書等でのオフセット提案が多かったので、エネットさんでなければ再エネそのものの購入をメインとした100%達成は難しいと思いました。
最終的には、全量の約2%に当たる賃貸物件はJ-クレジット購入になりましたが、約98%に当たる自社所有物件はバイオマス発電による再エネへの切り替えが決まりました。おかげさまで2019年1月に100%再エネへの切り替えが実施でき、2019年度にはRE100加盟の国内企業で初めて、実質100%再エネの目標を達成する見通しです。国内初というのは社会的にもインパクトがあり、当金庫が同じように環境問題に取り組む企業様の励みになればと思っています。実質100%再エネへの切り替え後は、様々な企業、メディア等から反響があり、営業地区である東京都、神奈川県に限らず、全国から問い合わせがあります。取材や問い合わせにはできる限り対応し、この活動の認知・普及に貢献したいと考えています。これは国内初達成を実現した私どもの使命でもあります。
当金庫は、店舗づくりにも環境に配慮した対策を積極的に取り入れると決め、震災後の新店舗は、環境や自然をメインテーマとした仕様に大幅変更しました。従来よりも建築コストは掛かりますが、地域・環境・社会への適応を目指した新しい店舗づくりは、地域のお客さまに対する私どもの役目だと思っています。今後は、保育園やイベント広場を併設した店舗など、従来の金融機関の垣根を越えた、より地域に寄り添う活動も続ける予定です。私たちの挑戦はまだまだ続きますが、RE100の達成という大きな挑戦を後押ししてくれたエネットさんには、様々な付加価値を提供する環境先進企業として、SDGs社会の実現に向けて、よりいっそう業界を牽引していただきたい。そして、今後も良きパートナーとして共に歩んでいただけることを期待しています。
経済産業省 資源エネルギー庁 WEBサイト
東京都と神奈川県で、地元に根付いた金融機関として親しまれている城南信用金庫。そのルーツは、明治35年に加納久宜子爵が都内最古の信用組合として設立した入新井信用組合です。国のため、地域のため、民衆のために信用組合の普及啓発に努めた創業者の「困った人々を助ける」という想いは現代まで脈々と受け継がれています。昭和20年東京城南地区の15の信用組合が合併して、城南信用組合を設立。専務に就任した小原鐵五郎氏は、その後、城南の理事長、会長としてのみならず、全国信用金庫協会、全国信用金庫連合会の会長として活躍し、信用金庫業界の発展に多大な貢献をしました。現在でも、独自の経営戦略・施策を次々と打ち出しています。
会員数286,792名 店舗数86店(うちインターネット支店1) 従業員数2,135名 (2019年3月31日現在)
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