電力自由化を機に、電力会社切り替えによる電気料金削減のニーズが高まっていますが、そもそも電気料金がどのように構成されているか認識されていない方も多いと思います。
本コラムでは、電気料金の計算方法から細かい料金の確認方法までご説明いたします。
電気料金は“基本料金”、“電力量料金”、“再生可能エネルギー賦課金”の主に大きく3つで構成されています。“基本料金”は契約上使用できる最大電力に応じて算定されます。一方、“電力量料金”は実際に使用した電力量に応じて算定され、これらは水道の蛇口の大きさと流した水の量に例えて説明することができます。また、“再生可能エネルギー発電促進賦課金”は国が年度ごとに定めた単価に、使用電力量に乗じて算定されます。
基本料金は、例えば関西電力の従量電灯A等のように、電気料金メニューによっては存在せず、“最低料金”を設けている場合がありますが、新電力を含め、ほとんどの電気料金がこちらの構成項目となっています。
蛇口の
大きさ
流した水の量
電力量料金単価 × 使用電力量
燃料費調整単価 × 使用電力量
燃料費調整単価とは、火力発電に使う燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の輸入価格に応じて電気料金を調整する金額のことです。火力発電は従来から日本の電力の半分以上を占めており、産油国の情勢や為替レート等で変動する輸入価格の影響を抑えて安定的に電力を供給する目的で、1996年1月から燃料費調整制度が導入されました。当初は年4回の頻度で料金改定が行われていましたが、燃料価格の変動をより細かく反映させる目的で2009年に制度見直しがなされ、現在の毎月料金を改定する方法へ変更されました。
毎月の燃料費調整単価は地域の電力会社(小売部門)ごとに財務省の貿易統計価格(実績)から自動的に計算され、毎月の電気料金に加算もしくは差引されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーを普及させるために、発電された電気を地域の電力会社が固定価格で買取る制度があり、その分の拠出金を全国の消費者で負担するための賦課金のことです。
先ほど日本の電力の半分以上が海外から仕入れる燃料から発電する火力発電によるものと述べましたが、エネルギー全体でみると日本の自給率は2018年度で11.8%(※経済産業省・資源エネルギー庁 エネルギー白書より)と非常に低く、このエネルギー自給率を向上させることを目的に再生可能エネルギーの普及・拡大に取り組んでいます。消費者の皆さまから集められた賦課金は、再生可能エネルギーを買取る地域の電力会社(小売部門または送配電部門)を経由して、最終的には再生可能エネルギーで発電している発電事業者の方々へ届けられるのです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、年度ごとに全国一律の単価として国が定めています。
電気の契約は、供給電圧によって大きく3つに区分されています。
特別高圧は供給電圧が20,000ボルト以上で、大規模工場や大規模ビルなどがこちらの契約に該当します。
高圧は供給電圧が6,000ボルトで、中規模工場や中規模ビル、商業系施設などがこちらに該当します。
最後に2016年4月に自由化された低圧ですが、供給電圧が100もしくは200ボルトで、家庭、小規模店舗、町工場などがこちらに該当します。なお小規模店舗、町工場では、1つの施設で2つの契約を結んでいる場合があります。一つは照明や一般の電化製品を動かすために必要な“電灯契約”で、もう一つは業務用空調や業務用冷蔵庫などに必要な“動力契約”になります。小規模店舗、町工場での電気料金見直しの際は、この“電灯契約”と“動力契約”の両方を確認することをお勧めします。
供給電圧 | 施設イメージ | |
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特別高圧 | 20,000 ボルト以上 |
大規模工場/ビル等 |
高圧 | 6,000 ボルト |
中規模工場/ビル、 商業施設 等 |
低圧(電灯・動力) | 100・200 ボルト |
家庭/小規模店舗等 |
次に特別高圧・高圧・低圧には具体的に、地域の電力会社(小売部門)にどういったメニューがあるのか紹介します。
特別高圧・高圧ではビル・商業施設・病院等が該当する“業務用”と主に工場が該当する“産業用”で料金メニューが分かれます。例えば、東京電力エナジーパートナーの場合、“特別高圧電力A”や“業務用電力”が業務用、“特別高圧電力B”や“高圧電力”が産業用に該当します。
低圧では代表的なメニューは“従量電灯”と“低圧電力”の2通りです。従量電灯は先述した“電灯契約”に該当するメニューで、使用電力量が増えるほど電力量単価が上がるので、電気の使用量が多い施設ほど割高な契約です。一方、低圧電力は先述の“動力契約”に該当し、こちらの電力量単価は季節に応じて設定され、夏季の単価が高くなっています。
電気料金の請求書や電気ご使用量のお知らせ(検針票)のフォーマットは各地域の電力会社(小売部門)によって様々です。一般的に特別高圧・高圧が請求書、低圧が電気ご使用量のお知らせのフォーマットであることが多いです。ここでは、ある地域の電力会社(小売部門)の請求書及び電気ご使用量のお知らせの見方のイメージを用いて紹介します。電力会社切り替えの際に必ず必要な情報になりますので、参考にしてください。
電気料金の算出期間を決める検針日ですが、検針日はエリアによって違います。例えば、東京電力エリアで地区番号が18の場合、検針日が18日頃になるイメージです。
また、エネットでは低圧は各地域の電力会社(小売部門)と同じ検針日になり、特別高圧・高圧は東京電力エリア以外は毎月1日が検針日となります。東京電力エリアでは、協議制(500kW以上)の契約の場合、毎月1日が検針日となり、実量制(500kW未満)の契約の場合、低圧同様に地区ごとに検針日が変わるしくみとなります。
電気料金の支払い方法は、“請求書払い”、“口座振替”、“クレジットカード払い”の3パターンあります。お客さまの管理の手間やクレジットカードのポイントなど加味して選択するのをお勧めします。