印刷業を核としながら、WEBサイト制作、映像制作、イベント運営に至るまで、「よりよい情報伝達のお手伝い」という理念を掲げ、東北エリアを中心に幅広く事業を展開されています。
また、近年は特に環境への取組みを推進されており、2020年にエネットの高圧電力を導入後、2023年には実質再生可能エネルギー由来のEnneGreen®(エネグリーン)を30%導入。
そして2024年には、その比率を100%へと引き上げられました。
今回は、こうした印刷業における環境マネジメントについて、環境管理総括者である常務取締役 阿部 茂さま(以下、阿部)、総務部 部長 小野寺 静雄さま(以下、小野寺)、製品部 部長 佐藤 忍さま(以下、佐藤)そして、代表取締役 菊地 慶矩さま(以下、菊地)にお話を伺いました。
電力乗換えの決め手はLNG(天然ガス)由来の電気と安定供給

(小野寺) 当社は明治44年の創業で、当初は化粧箱の製造から事業を始めました。
昭和11年からは印刷業を手掛け、東北地方を拠点に活動してきましたが、近年はデジタル分野や映像制作、イベント運営など幅広く「情報を伝達する事業」を展開しております。
(阿部)印刷業では、非常に多くの電気を使用します。
例えば紫外線(UV)を照射することで瞬時にインクを硬化・乾燥できるUV印刷機は、かなりの電気を必要とします。また工場内では、大型印刷機から出る熱や紙の品質管理のために、湿度や温度管理をする冷暖房設備も欠かせません。
電気使用量の抑制はコスト削減に直結するため、省エネには積極的に取組んでいます。例えば、消費電力の少ないデジタル印刷機や、電力デマンド装置の導入がその一例です。
この装置は、電気の使用量をリアルタイムで監視し、設定した目標値を超えそうになるとアラートで知らせたり自動で設備を制御したりする仕組みで、これにより、電力使用量のピークをカット、電気料金の削減へとつながります。
他にも本社工場内の照明をLEDに切り替えるなど、さまざまな省エネに取組んでいます。
(阿部) そんな折、弊社の会長と懇意にしてくださっていたエネットの葛西さんから、電気の乗換え提案をいただいたのが最初のきっかけです。
それまで電力会社の方が営業に来られることは特になかったのですが、葛西さんは非常に熱心に足を運んでくださいました。
(葛西) 電気料金の削減メリットなど、色々とお話ししたのですが、最初のうちはなかなか響いている手応えがありませんでした。
ある時、会長から「エネットの特徴は一言でなんだ?」と核心を突く質問をいただきまして。
そこで私が「電力会社として本気でCO2削減に取組んでいる点です」とお答えしたところ、強く共感していただき、具体的な導入への道筋が見えました。

(菊地) 川嶋印刷では会長を中心に、積極的に環境経営に取組んでおります。エネットさんの電気が、燃焼時のCO2排出係数が少ない液化天然ガス(LNG)で作られているところにまず刺さりました。
とはいえ、当時は新電力の中には突然サービスを停止する会社もあり、それだけで電力の乗換えを決断するのは難しく、そうした不安を解消できるかが導入の大きなポイントでした。
しかし、エネットさんは、親会社のバックボーンがしっかりしていて、複数の発電所から安定的に電気を供給するネットワークを持っているので事業基盤の面で安心できたのです。
なにより、担当営業の葛西さんが私たちの不安に対して、1つ1つ丁寧に回答していただけたことで不安はなくなりました。
積極的な環境経営と社会貢献への取組み

(阿部) 私どもは今から20年以上前の2001年に国際規格ISO14001(環境マネジメントシステム)認証を取得し、毎年環境目標を定めて環境保全活動に力を入れております。
活動は基本的なゴミの分別からスタートし、徐々にその範囲を拡大、現在では紙の裁断クズや金属製の刷板を全量リサイクルするほか、社用車をEV車・PHV(プラグインハイブリッド車)・HV(ハイブリッド車)へ切り替えるなどの取組みも進めているところです。
他にも、執務室の電気は一括管理ではなく、1つ1つの電灯に紐をつけ、使用している場所だけの電灯をつけるようにするなど、こまめな節電も心がけています。
また、岩手県奥州市にプラスチックを買取る会社があるのですが、ペットボトルのキャップを持ち込むと、寄附という形で世界の子供たちにワクチンが打てるようになる取組みをされており、社員からの提案で、この取組みに当社も参加させていただいております。
こうした20年以上積み上げてきた実績により、社員自ら環境や社会貢献について考え、行動できるようになってきたのだと実感しております。
(佐藤) 2010年には、FSC(森林管理協議会)のCoC認証も取得しました。
これは環境に配慮し、計画的に管理された森林で生産された木材を原材料にした紙製品であることの認証なのですが、お客さまのニーズに応えるため、営業からの要望で取得した経緯があります。
(小野寺)環境配慮への取組みは、大手のお客さまの発注条件や入札条件であると同時に、新卒採用での会社のアピールにもつながるものなので、当社はもちろん、印刷業界全体で積極的に進めている状況です。
EnneGreen導入によりCO2排出量ゼロ実現へ

(阿部)京都議定書に書かれている共通の削減目標に合わせ、当社でも毎年作成する事業計画に“CO2削減”を目標に掲げています。
印刷業で使用するエネルギーの大半は電気のため、CO2削減のためには節電対策することが重要です。
そのため、当社では2023年にEnneGreen (Zero)を導入し、実質再生可能エネルギー30%からスタートさせ、現在では100%となり、CO2排出量ゼロを実現することができました。
さらに、適切な森林管理をすることでCO2削減する岩手県や一関市の有林 J-クレジットや、藻を海底に定着させ、海からのCO2発生を抑える活動をしている岩手県洋野町 Jブルークレジットなどの購入で、カーボンオフセットも積極的に進めています。
(小野寺) 先ほど阿部が申したとおり、当社では電力デマンド装置や工場のLED化といった節電対策を進めてきましたが、もう一つの大きなテーマとして、災害への備えがあります。
東日本大震災時には、このあたりも電気をはじめとしたライフラインがすべて止まってしまい、かなり苦しみました。
この経験を教訓に、発動発電機を導入し、蓄電池の機能としてEV車2台を導入しています。この2台があれば、サーバーなど最低限動いていてほしいものの電気を最低限賄える体制です。
ちなみに、太陽光発電や蓄電器の導入も検討しましたが、コストや設置場所の問題があり、導入には至っておりません。
(阿部)先日、エネットさんから、設置をすると電気のロスをなくして、電気代が安くなる電力品質改善装置導入のご提案をいただきました。
テスト条件などが整えば、一番電気を使う印刷機に設置してみようかと検討しているところです。
EnneGreenはコスト的に少し高くなりますが、環境に対する投資だと思っています。
その上で、できるだけ電気代を安くできないかとエネットさんは常に考え、さまざまな情報を提供いただけるのでとても助かっています。
地元とともに環境と調和した未来へ向けて

(阿部)私どもは印刷業者ですから、品質管理には特にこだわりを持っております。
世界遺産の町、平泉町に本社を構える当社は、地域柄、歴史的文化財に関わるお仕事にも多く携わってきました。
繊細な意匠や素材が持つ質感、見る角度や光によって変わる表情を、印刷物としていかに美しく再現するかは、当社の技術力が問われる重要なテーマです。
会長も強いこだわりを持っており、写真に迫るクオリティを印刷で実現するため日々研鑽を重ねています。
また、品質が向上することは、印刷ロスが減少するので工場の稼働時間が短縮され、結果としてコスト削減やCO2排出削減につながっていくと考えております。
(菊地)当社では印刷だけではなく、WEBや映像制作、イベント運営のサポートまで幅広く事業を拡大しております。
当然こうした事業においても環境に配慮した取組みを積極的に進めております。
例えば、硬質ダンボールを使用した展示ブースや什器などを作成する事業は、東北エリアでは数社しかない環境配慮型ビジネスモデルとなっています。
100年以上にわたり、歴史と文化に育まれた緑豊かな世界遺産の町「平泉」で事業を続けてきた会社として、地元の皆さんとともに環境と調和した社会の実現に努めていきたいと考えています。
事例インタビュー企業紹介
川嶋印刷株式会社
創業明治44年、世界遺産の町・平泉に拠点を置く川嶋印刷。「愛行の実践」という企業理念のもとSDGsの考えに賛同し、環境保全や社会貢献を通じて、地域やお客様と共に持続可能な社会の実現を目指します。
https://www.kpc.co.jp/


