世のEVシフトの流れを受けて、「うちの会社もEVを導入したい!」となったとき、もっとも気になるのが導入費用のことではないでしょうか? なんの工夫もなく導入しようとすると、受電設備などの増強で数百万円規模のコストが必要となったり、オーバースペックで高額な充電器を選んでしまう恐れもあります。
今回は、意外とコストがかからずにEV導入は可能ですよ、というお話です。
目次
※当コラムでご紹介する金額はすべて一般的なケースに基づく概算で、記載の価格帯を保証するものではありません。正確な費用は工事会社等からの見積もりが基本となり、諸条件によって異なります。
いざEVを導入しようという場合、クルマはもちろんですが、それ以外に次の費用がかかります。
①充電器・・・普通充電器と急速充電器があります。
②設置費用・・・電源からの配線工事や、充電器本体の固定に関わる費用になります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
普通充電器も急速充電器も、さまざまなタイプがあるので価格にも多少バラつきがありますが、だいたい以下のような価格帯です。
● 普通充電器:6kW出力(自立型)…1台約20万円 ※壁掛けタイプは20万円未満のものもあります。
● 急速充電器:30kW~50kW出力…1台約200万円
※当社調べ(2022年1月現在)
一般的なイメージとして、「EV充電器」と言えばおそらく急速充電器をイメージされるかと思います。高速道路のサービスエリアや道の駅などで多く見かけるようになりましたが、こちらは用途が文字通り「急速」のため高出力となり、また公共利用のための認証・課金機能なども付いた大がかりな電気設備となります。ですが、自社利用限定で夜間充電シフトなども選択肢となる法人車両の場合、より導入が容易な普通充電器の方が使用実態に見合っています。
公共用の急速充電器を見たイメージなどから、1台の充電器から何本もケーブルが出せるように思われるかも知れませんが、普通充電器は、1台につきケーブル1本のケースが多いです。(※複数本のケースもあります)急速充電器は、利用者の入れ替えも「急速」であるという前提から、なるべく機能を1台に集約する必要があります。しかし、普通充電器はクルマを使わない夜間充電が多く、充電ソケットの頻繁な抜き差しや利用者の入れ替えも少ないので、充電器とクルマは1:1の構成となることが多いです。つまり、3台のEV社用車を導入するなら充電器は3台必要になります。
仮に、1台で2本ケーブルが出せる普通充電器を考えたとき、EVを5台導入する場合、充電器が3台必要になってしまい、ケーブルは1本余るというムダが生じてしまいます。また、充電器が1台が故障すると、クルマが2台とも充電できなくなってしまうリスクもあります。
普通充電器による運用は、「シンプル イズ ベスト」です。
● EV充電器を設置する場合の費用を左右するポイントは、大きく2つあります。
①電力の空き容量
低圧契約は50kWまでの契約ですが、ブレーカー制約などにより、基本的には40kWまでがフルに使える電力です。この範囲内におさまるようであれば、高圧化の費用はかかりません。
昼間の使用電力のピークが20kWの会社の場合、EV導入によって使用電力が増えた際、低圧に抑えられる幅は20kWまでとなります(ブレーカー制約で40kWが上限)。6kW出力タイプの普通充電器なら、3台が導入の上限です。あるいは夜間のタイマー充電と併用しても5台が限界となります。
● 仮に高圧化するとなると…
高圧受電設備が必要となり、規模によりますが設置工事費とあわせて400~500万円程度のコストになることもあります。また、高圧設備になると電気主任技術者による保安コストも別途必要です(年間数十万円)。
ただし!エネットのEnneEV®なら、普通充電器の出力制御により、最大30台程度まで低圧契約で実現可能です。
②配線の状態
設置工事の大部分は、分電盤などから充電器までの配線工事です。距離が近くすぐに配線できる場合は、簡易な工事で済みます。
逆にかなりの距離をつながなくてはいけなかったり、配線に難しい条件などがあれば、その分、コストがかかります。
配線のほかには、充電器の固定化に関する費用がかかります。自立式の場合は、自立スタンドを地面に固定化する必要がありますが、地面がコンクリートでない場合は基礎工事が必要だったり、壁掛式の場合は穴あけや荷重に耐えうる設置工法が必要だったりと、設置するシーンによって多少の費用変動が見込まれます。
ざっくりですが…
急速充電器をそのまま設置する場合、設置費用は300~500万円程度、それ以上の場合もあります。
これに対して一般的な普通充電器(6kWタイプ)の設置工事費用は、1台につき約20~40万円程度が相場です。電力に余裕があり、配線等がスムーズならブレーカーの空きを使ってつなぐだけなので、過去には20万円未満のケースもありました。
※当社調べ(2022年1月現在)
たとえば、充電器1台分の設置工事費が30万円の場合、3台導入時には30万円×3=90万円が必要になるのでしょうか? 実はそうではありません。2台目以降は半額になったり割安になったりします。2台目以降が半額の場合、3台導入時は30万円(1台目)+15万円(2台目)+15万円(3台目)=60万円が設置工事費となります。
単価が下がるのはあくまでも同時に工事した場合で、一度にやらないと都度1台めの費用がかかるので、ある程度まとめた台数での導入がコスト的には望ましいということになります。
既存設備容量では足りない場合、もう1本、新たに別の線を引き込むという方法があります。本来は、同一敷地内の建物と充電器は1つとして契約する必要がありましたが、国のEV普及推進により、2021年4月からは、普通充電器でも、2本引込特例措置が適用できるようになりました。これにより、電力に比較的余裕がない場合でも高圧化を回避でき、かつよりリーズナブルな普通充電器でEV導入できる可能性が高まりました。
「空き容量」がない場合や、
合計出力が50kWを超える場合、
高圧受電設備が必要
50kW未満であれば高圧受電設備は不要
普通充電器でも別引込みが可能に
仮に昼間の電力ピークが20kWの場合、余剰20kWを6kWタイプの普通充電器の電気に充てるとなると6kW×3=18で、3台が限度になります。しかし、電力使用が抑えられる夜間に充電するのであれば、30kWぐらいまで使え、6kW×5=30で、5台まで導入できる計算です。
さらにエネットのEnneEV®なら、充電器の出力制御もできます。たとえば、夜間の充電時、充電器への出力を50%に抑えると、余剰30kWの電力で10台までEV導入が可能になります。もし、25%まで制御すれば、理論上は20台まで導入できます。さらにもっと導入したい場合は、2本目を引込み、EV充電専用にすれば低圧契約でも40kWまで使えますから、導入台数を大幅に増やすことが可能になるのです。
● 40kW(低圧50kW契約で使える最大量)を
別引込みでフルにEV充電に使える場合
40÷6(6kW普通充電器)=6あまり4
さらに…
● EnneEV®活用で充電器への出力を50%にすると
40÷3(6kWの50%)=13あまり1
● EnneEV®活用で充電器への出力を25%にすると
40÷1.5(6kWの25%)=26あまり1
※上記導入台数の計算は理論値です。25%出力の場合、6kW×25%=1.5kWとなり、夜間充電を12時間と考えると一晩で18kWしか充電できない計算になります。電池を90%くらい使って帰ってくる社用車の場合には、50%出力の3kWが抑制の限度と見込まれます。
ただし毎日の走行距離が100km程度(電池消費量50%程度)で、それ以上乗らないのが明らかなら、25%出力でも12~13時間で満充電できる計算なので、26台導入も可能です。
普通充電器は1台約20万円程度で、設置費用を含めても「EV導入=数百万円で高額!」というイメージではありません。
いかがでしたか? 普通充電器なら、公共のEV充電設備と違って、案外リーズナブルにEV導入できるのです。
エネットのEnneEV®は、お客さまごとに異なる諸事情を共有し、コストの最小化を含めた最適なEV導入計画をご提案します。