第1回と第2回のコラムで「普通充電器によるEV導入は、思ったよりリーズナブルかも…」とお感じになっていただけたかもしれません。しかし、「いざ導入してみたとき、ガソリン車と比べるとどうなの?」「導入自体のコスト感はわかったけど、維持費はどうなの?」なども気になるところです。実は、導入後までを含めたコストも意外とリーズナブル。第3回は車両の購入から電費・燃費、消耗品や税金までの費用について、EVとガソリン車で比較した試算をご紹介しますので、ぜひ、参考にしてみてください。
目次
※当コラムでご紹介する金額はすべて一般的なケースに基づく当社調べによる2022年1月現在の概算で、記載の価格帯を保証するものではありません。正確な費用は発注先企業等からの見積もりが基本となり、諸条件によって異なります。
まずは車両価格をEVとガソリン車で比べてみましょう。EVは2021年3月にグローバル累計販売台数50万台を超えた日産リーフを、ガソリン車としての比較対象には同じセダンのトヨタカローラツーリングを選びました。いずれも最低価格のグレードのものです。
● 日産リーフ
(EV)
S(40kWh)
3,326,400円(消費税込)
-73.6万円(補助金)
※他に自治体によっては自治体独自の補助金が出る場合もあります
(例:東京都は事業者補助37.5万円)
● カローラツーリング
(ガソリン車)
G-X 1.8L・CVT
2,013,000円(消費税込)
● 年間費用(7年リースの場合:車両価格÷7)
日産リーフ 370,057円 VS カローラツーリング
287,571円
※車両価格は日産・トヨタそれぞれの公式HPより
EV購入費用はガソリン車比約130%、補助金を考えなければガソリン車比約170%となり、ガソリン車に軍配が上がります。
EVには充電器が欠かせません。ですのでEV導入に際しては充電器購入と設置工事の費用がかかります。
工事費用
300,000円
充電器代
200,000円
合計
500,000円年間費用(7年割)で考えると 71,429円/年
EVシフトで
まるまる
かかってくる部分
※金額はすべて一般的なケースに基づく概算で、記載の価格帯を保証するものではありません。正確な費用は工事会社等からの見積もりが基本となり、諸条件によって異なります。
1.の車両購入費について、補助金で約130%まで詰まっていた差が、充電関係費用で約180%まで開く計算です。世間で言われる「EVは高コスト」というのは、実はこの段階までの試算を指すことが多く、次から紹介する費用も含めたトータルコストはまた違ってきます。
ガソリン車が1リッターあたり何キロ走るのかを表すものを「燃費」と言うのに対し、EVが1kWhあたり何キロ走るのかを「電費」と言います。同条件でそれぞれの費用を試算してみました。
◯1日あたりの走行距離 50km
→ 月間走行距離1,000km、年間走行距離12,000kmとする
● EV
6km/kWh
電気代単価
16.38円/kWh
年間電気代
32,760円● ガソリン車
15km/ℓ
ガソリン単価
163.7円/ℓ
年間ガソリン代
130,960円削減率 75%!
2.の充電器費用との差は
年26,771円までに接近!
※電気代単価およびガソリン単価は諸々の情勢により変動しますので上記価格は試算上の仮のものです。電気代単価はTEPCO東京電力エナジーパートナー公式HPに掲載の業務用電力単価・その他季のもの、ガソリン単価はガソリンスタンド情報共有サイト(gogo.gs)に掲載のものを抜粋しました(2022年1月現在)。
こちらは、圧倒的にEVが低コストですね。
よく車検時などにガソリン車の場合はエンジンオイル交換などを行いますね。EVの場合、エンジンオイルやエンジンオイルフィルターの交換が不要で、費用がかなり省かれます。
● 消耗品費比較
ガソリン車 36,661円 VS EV 25,056円
削減率 32%!
EVの自賠責保険の費用は、基本的にガソリン車と同じです。
また、車検費用は割安になります。
試算による具体的金額は右のようなイメージです。
ガソリン車 | EV | |
---|---|---|
車検費用(7年割) | 42,857円 | 32,300円 |
自賠責保険(7年割) | 10,000円 | 10,000円 |
年間費用合計 | 52,857円 | 42,300円 |
クルマを所有するなら支払い義務のある自動車税と重量税については、EVとガソリン車で大きく異なる部分です。EVは環境にやさしいクルマとしてエコカー減税をはじめ、さまざまな優遇税制があります。
● 車にかかる税金の種類
種類 | 納めるタイミング | 納付先 |
---|---|---|
環境性能(旧・自動車取得税) | 車の購入時に納める | 自治体 |
EVは非課税
自動車重量税 | 新車登録時と車検(継続検査)時に納める | 国 |
エコカー減税適用により0円
自動車税 | 毎年1回納める | 自治体 |
※すべて2022年1月現在。政策等により変更になる場合があります
2万5000円のところ、グリーン化特例
により実質75%軽減の6,500円
※東京都は購入後6年間0円
※すべて2022年1月現在。政策等により変更になる場合があります
● 税金額比較
ガソリン車 | EV | |
---|---|---|
自動車税(1,500cc~2,000cc) | 36,000円 | 0円 |
重量税(~1.5t/新車購入時3年分、以降車検時に2年分) ※7年分を年割 | 12,300円 | 0円 |
EVとガソリン車の購入からランニングコストまでの費用比較をしてきました。EVの場合、車両代と充電器代や工事費がかかるものの、補助金や優遇税制などを使えば、イニシャル&ランニングコストの総額は試算でなんと約102%。ビックリするほど高額になるわけではなく、EVシフトは今すぐにでも案外リーズナブルに実現できる環境対策だと言えるでしょう。また、今後の補助金政策や、車両価格の低下により、従来のガソリン車と同等の運用コストとなることも期待されます。
● トータル比較
ガソリン車 | EV | |
---|---|---|
年間ランニングコスト合計 | 268,778円 | 100,116円 |
車両・充電器関連費用・年間ランニングコストと併せた年間費用合計 | 556,350円 | 570,173円 |
ガソリン車比 | 102% |
● それぞれの費用割合