横浜市にある学校法人フェリス女学院さまは、2006年10月からエネットの電気をお使いいただいています。また、同学院では環境教育に力を入れており、電気のことを経費節減の対象としてだけではなく、エネルギーと環境を学ぶ生きた教材として捉えておられます。
今回は、キャンパスにおけるAIによる省エネサポート「Enneteye」のご利用について、本部事務局 総務課の吉原課長にお話を伺いました。
フェリス女学院でエネットを導入したきっかけは、私の前任者が予算の策定業務を進めていく中で施設・設備にかかる固定費をどのように効率化していくのかを考えたことでした。効率化にむけて新電力への変更も選択肢の一つとなり、話を聞いた複数の会社の中からエネットが最適だという判断に至ったと聞いています。
本学院では、2004年から環境問題に積極的に取り組むエコキャンパスを推進していますが、このことに関連して新電力の変更を検討するにあたり、各社が供給する電気のエネルギー構成も考慮しました。エネットは天然ガスを使った火力発電所を持っているので、通常の火力発電所と比較すると二酸化炭素の排出量が少ないクリーンなエネルギーを使っています。また、電力をどれだけ使っているのかをWeb上で確認できる無料の「見える化サービス」にも価値を感じました。もちろん金額面も大事で、さらに会社としての組織力や信頼性なども含めて最終的な判断をしました。
東日本大震災の発生以降、官公庁や学校は常に節電を励行している状態です。東日本大震災の発生直後は電力受給が安定していなかったため、本学院でも施設担当者が照度計を持って校内を巡回し、間引くことができる蛍光灯はすべて外すなど、できうる対応を行いました。また、節電によって得られた金額を被災地に寄付する取り組みも実施し、学生・生徒・教職員が節電に対する高い意識を保つことができたと感じています。これらの取り組みについては、震災以前からエコキャンパスという観点で、環境に対する配慮の感覚を構成員が共有していたことも、相乗効果につながったと思っています。
エネットとの契約で固定費の抑制になると満足していましたが、それだけでは省エネの本当のミッションは果たしていなかったと人工知能を使ったサービス「Enneteye」を利用し始めてから感じています。学校の場合、夜間の施設利用は限定されますが、そんなときに電力消費量が上がると「Enneteye」から、想定されていない電気の使い方の再確認、スイッチの消し忘れはないか、といったアラートメールが届きます。これらについて、1つ1つ確認し、結果として学内のスポットイベントに起因することもあれば、電気の消し忘れや各種ポンプの空回りなど、不具合発見に至ることもあります。設備管理会社とアラートメールや電力使用データは共有しており、特に電気の消し忘れ防止対応が可能となりました。ヒューマンエラー的な電力使用の抑制にも役立ち、その結果が固定費の削減につながるなど、「Enneteye」は貢献してくれています。
学校の中では、特に空調に電力消費の多くがさかれます。朝8時から9時にかけて一斉に教育活動が始まりますが、その前後の時間で一斉に空調のスイッチも入ります。以前は教育活動に付随する動きなので回避策のない事象だと考えていました。しかし「Enneteye」からのアラートをもとに、関係者で再度議論したところ、回避策としてスイッチを入れるピークをずらすことで電力負荷分散につながることを見出しました。設備管理者は、不具合発生回避を重視しがちですが、「Enneteye」というサブツールを導入したことで、先を見た実践につなげることができました。
「Enneteye」の第一報は人工知能ですが、そのほかにエネット担当者から電力使用状況をフィードバックしていただくことも多くあります。アラートメールだけでなく、想定要因や結果について、知見と実態に即した意見をいただけるなど、双方向のコミュニケーションによる施設管理と省エネルギーの実践ができていると感じています。とかくアラートメールだけだと、原因を見つけた後、是正したというPDCAサイクルで安心しがちですが、定期的に届くレポートや担当者からのアドバイスのおかげで、電気の使い方や今後の見通しなど全体を把握することが可能になります。電気量が増える時期にはどれだけ増えているのかを把握し、契約を変更するかどうかを判断する。ただ単純にまとめとしてのメールではなく、そこから何を読み解くのかが重要だと思っています。私たちは定期報告からもランニングコストを過年度のものと比較し、今年はどのくらい抑制できているのかを確認しつつ、翌年度の事業計画における予算策定のための参考資料としても活かしています。
学校法人フェリス女学院
■山手キャンパス
■緑園キャンパス
https://www.ferris.jp/index.html
(部署や本文中の役職は2019年7月現在のものです)